fishvel

憧れのアカメを釣り上げるまで。

 

こんにちは。kiyoniiです。
この記事は
春先から高知に通い、6月2日、初のアカメをキャッチするまでの体験記。これからアカメにチャレンジする方へ、少しでも参考になれば幸いです。

・アカメってどんな魚?

どんな釣りでも先ずは相手を知ることから。
名前の通り真っ赤な瞳に1mをゆうに超える巨体を持ち50㎝のボラすら捕食すると言う規格外の肉食魚。高知県浦戸湾が有名な生息地でボラ、チヌなどの魚類はもちろんガザミなどの甲殻類も良く食べると聞く。現地の釣り人に話を聞くと、チニング中にアカメがヒットする事があったり、団子釣りでかかったチヌにアカメが食いついてくる話を良く耳にした。「神の魚」「伝説の魚」などの憧れのイメージを持つ県外人とは裏腹に、現地の釣り師(特にチヌ師)からは嫌われているようだ。
中には幼い頃からアカメが食卓に並んでいると言う方までおり足を運ぶ事で初めて得られる情報があることを改めて思い知る。シーズンは5月〜10月と聞くが、年中を通してキャッチするベテランも少なくない。

・目標を定める

アカメへ挑むにあたり目標を定めることにした。
これが意外と重要で、いつ、どこで、どうやって釣るかによって、タックルや準備も変わってくるからだ。明確にすればするほど、それらも絞りやすくなる。
そこで僕の定めた目標は

  • デイゲーム
  • サイトフィッシング
  • ビッグベイト
  • メーター超え

この4点を目標にして、これを達成できる場所を探すことを第一に憧れの地、高知県を訪れる。目標の理由も記載するが、これは挑む人によって変化するので読み飛ばしても問題ない。次の下見編からが役に立つと思う。

先ずデイゲーム。これは単純に太陽光に照らされたアカメが見たいから。体色、模様、鰭の形、その全てを脳裏に焼き付けたい思いがあった。
#夜ライトで照らした方が目は赤く光るらしいけど。

サイトに拘った理由は、
1・ウェーディングゲームが苦手(怖いのよ)
2・魚の通り道やピンを探すことに時間がかかりすぎる
3・何と言ってもルアーに食らいつく瞬間が見たい!
こんなところだろうか。
初心者でもコンスタントに釣れる魚であればピンを探したりするのも楽しいが限られたタイミングをモノにする為には実際に魚を見て試すことが圧倒的に得る情報が多い。

ビッグベイトはただただロマンである。
もちろんルアーそれぞれの出しどころがあるため間違うことも多いだろうが憧れの1本目は必ずロマンと一緒に掴みたかった。

メーター超えは1つの区切りと言うか
納得できるサイズかなと。

・下見の重要性

釣り方を決めたら次は下見。
その釣り方が最もハマる可能性が高い場所を選別する。フィールド全体を練り歩く事で得る情報はたくさんあるので向き不向き関係なく色々な場所を覗いておいて損はない。今回は河川をメインに選んではいたが、港や釣りのできる場所は出来る限り歩いた。各ポイントに住む生き物や、干潮差で見える地形の変化、障害物の有無。また現地の釣り人との会話は活きた情報そのもので、釣果や傾向はもちろんのこと釣り禁、立ち禁、また駐車場問題など、トラブルを未然に防ぐ上で最も重要なことを教えて頂ける。本当に有り難い。各釣具屋さんの情報もめちゃくちゃ助かるが、更なるロコ情報が組み合わさればあらゆる精度が上がるはず。先人の知恵に感謝して己の血肉とするが吉。

数日間を下見に費やし、2ヶ所の河川に絞った。
絞った後も、どこのコースを通して口を使わすかなど細かくイメトレ。理想的な釣り方を思い描く程ワクワクが止まらなくなったが、3〜4月の間、アカメの姿を見ることは遂に叶わなかった。

・筏釣りという選択肢

youtubeに上がっているアカメ関連の動画を見ていく中で非常に興味深いものがあった。それは「筏」。海上に浮かぶ筏へ船で渡り、1日を通して自由に釣りができる代物だ。基本的にはチヌを狙った団子釣りが主流なのだが、そのチヌを狙ってアカメが現れるとのこと。実際アカメ狙いの人もおり、釣れたチヌやボラを泳がせて釣っているようだ。

正直一度は戸惑ったが(目標から逸れるため)折角の機会なので行ってみることにした。実際アカメの姿を見てみたかったし、団子釣りへの興味も湧いたためざっくりとタックルを準備し筏へ乗り込んだ。渡船料は3,500円。さてどんなもんか。

内容は割愛するが(書くと長くなる)利用して良かったと感じている。初めて生のアカメの姿を確認できたし、泳がせたボラへのチェイス、またバイトを見ることができた。(針がかりはしなかったけど)
この体験がビッグベイトのアクションと食わせ方に対し非常に参考になり憧れの初アカメを釣り上げることになったのだ。時間に余裕がある方は1日くらい行ってもても良いと思う。
筏についても別で詳細書きますね。

・実釣。遭遇からバイトまで。

下見、筏、実釣を重ね、いよいよ6月に突入した。
一生忘れないであろう、憧れに出会い、そしてこの手で掴んだ6月2日。その日を振り返りながら、皆様の参考になればと思いながら書く。

早朝4時半。天気は晴天。
午前7時まで上げ潮(大潮終えての中潮)で、良くも悪くもといった印象。某河川の中流部からスタートし、幸先良くダウズワンにバイトがあった。アカメかシーバスかの判断はつかなかったが、狙い通りの場所。間違ってないと自信が持てた。バスフィッシングや他の釣りでもそうだが、やはり餌を追い込める場所は大切なのだろう。

そこから10時までは特に大きな変化は見受けられず、最上流部まで足を運んでは拠点まで戻ることを繰り返した。そして運命の時。シーバスやチヌが良く目につくのでサイトで狙っていると、対岸に2度見レベルの巨体を発見した。正直沈み物かと見間違ったがシルエットが明らかにソレである。しかも2尾。胸が高鳴った。Goproの録画ボタンを押す手が震える。リールにかけたダウズワンが上手く外れない。同時に足も震え始めた。ただ見えただけなのに。奇跡を予感するほどに。

高台からの挑戦となってしまうが仕方がない。
アカメの目線の先5m程にキャストした。幸いビックリして逃げる事はなかった。ルアーはできる限りスローに、泳がせのボラをイメージしてアクションを付ける。しかし、アカメはルアーに近づくにつれ徐々に沈んでいった。完全に姿が消えた時は、何が間違っていたのかと頭をフル回転させたが、直後、ルアーの真下に姿を現した。鼓動と足の震えが倍になったのは言うまでも無い。

しかしここからが長かった。
ピタリと下についたものの、これといった食わせのキッカケが分からない。何度も沈みと浮きを繰り返す中、徐々に足元にルアーが近づいてくる。だが閃いた。と言うかそれしか無かった。高台ならではの、壁を利用した食わせだ。

壁まで数メートルの位置からアクションを加速させる。最後の追い込みスイッチを入れるためにバス釣りでは良く使う技だ。しかし壁に密着させてもまだ食いつかない。
が、間髪入れずルアーの頭を反転させ、壁にブチ当て続けながら弱ったボラを演出した。アカメは先ほどより明らかにルアーに興味を示し、徐々に、だが確実にその距離は縮まっている。時間にして数秒の出来事。だがとてつもない緊張感が体感時間を限りなく延してやまない。
見切れてしまう恐怖も大きくなる一方で、次の一手を探る脳みそは決断を迫られている。だがこのまま続けていても、物理的にルアーを動かせる距離には限界があり、何よりも僕の心が切迫した緊張感で押し潰されそうだったので、大胆な一手を敢行した。

肉食魚が魚を襲うとき、それは確実に頭から抑え込んでくる。ここまでを台無しにしてしまう可能性もあったが、何もしないまま後悔しないために思い切ってルアーの頭をアカメの方へ、力強く反転させてみた。

刹那、蒼穹に鳴り響く捕食音。
この音を、生涯忘れる事はないだろう。

一瞬で姿を消したビッグベイト。
フッキングする間もなく
主導権は完全にアカメに握られた。

その時の動画はコチラから。

・憧れをこの手に

想像を遥かに上回るアカメのパワーに、驚きと感動が入り混じる。体長の分ラインを出されると教えて貰った通り(1mのアカメなら100m走るらしい)、ちょっとやそっとではまるで止まる気配がない。
これほど体高のある魚を相手にした事は今まで経験がなく、顔の向きを変えようにも中々思い通りにコントロールできない。が、幸いここには橋脚や大きな障害物は無く、ある程度自由にさせながらもじっとりと強く耐え偲び、無理のないよう慎重にテンションを保つ。

強いベイトタックルで、こうも容易く走られてしまうのだから橋脚や杭周りの釣りが、いかに難しい事であるか容易に想像がついた。

耐え忍ぶ事5分。ようやく糸を巻き取る量が、アカメの走る距離を上回った。ここから寄せに入ったのだが、これも体高のためか水の抵抗が大きいのだろう、体を左右に振ることがとても難しい。何とかランディング出来る位置まで移動することができたがアカメはまだ体力を残していたようだ。目の合う位置まで寄せたのだが、もう一度強烈な突っ込みを見せる。激しく揺れた団扇状の尾びれが、実に美しく水中を叩いた。

何度かそれを繰り返し、ようやく素直に
その姿をだんだんと露わにする。
魅入られそうな澄んだ瞳が時折赤く反射する。
憧れの魚が、手の届く距離に。

ランディング1回目
やはりと言うか、そう易々と掴ませてはくれなかった。
触れた刹那、身を翻し、再びその暴力的な力が襲う。
油断は禁物。冷静にロッドを持ち替え走りに備えた。

2回目
顎を掴んだら離さない。そう言いきかせた。実際声に出ていたかもしれない。フィッシュグリップは魚体に穴を開ける恐れがあるので、敬意も込めてハンドランディングと決めていた。手がボロボロになると聞いていたが、釣りキチ三平を習って粗目の手袋を用意している。バス持ちの要領で、体を傾けながら寄せきったアカメの口に手を伸ばす。確かに掴んだ顎。だが、すぐに持ち方を後悔した。

youtubeで見た
アカメのランディングで肩を脱臼した動画。両手で顎を掴んでいても、エラ洗いで逃げられてしまった動画。そう、何度も見て理解していた筈だったが、決着を見据えて心に隙が生まれた。実際の力強さを体感するまで、何とかなると思い込んでしまっていた。

僕の手を振りほどくように、と言うよりは水中に引きずり込む勢いでアカメは最後の抵抗に打って出た。身の危険を感じ、咄嗟に手を離してしまった。離されたと言ってもいい。直後、思い切り川底を目指し突っ込まれ、本当に終わってしまったと思った。ラインブレイク、ロッドの破損、あらゆる絶望的観測が脳裏を駆け巡った。

が、神様は僕のミスにも関わらずチャンスを与えてくれた。
憧れとラインは繋がったままだった。
もう一度、この夢に挑戦出来る。
もう一度、この憧れを掴む瞬間がある。
次の次は、もうないぞ。

3回目
アカメも力を振り絞ったのか、先の2回と比べると実に大人しくよってきた。だが油断はしない。絶対的な信念を持って、ロッドから手を離し、諸手で、迎える。右手でそっと口を開け、左手はバス持ちとは逆手に、がっちりと顎をホールドした。指先に伝わる圧倒的な存在感。嬉しいとか感動とか、そんな言葉じゃ全然足りないね。

小学生の頃に出会った憧れを、この手に摑んだ瞬間だった。

・その後のまとめ

ランディング直後、地元のアカメ師の方が声をかけてくださった。アカメの扱いについて沢山のことを教えていただき、またランディングも手助けして頂いた。本当にありがとうございます。

改めてアカメを観察する。
覗いた口の中はとても広く、50cmのボラを捕食することなど造作も無いことが良く分かる。頭から背中にかけて猛々しく迫り上がる肩。背びれの骨は1本1本が太く堅牢で、全身は鋼と見間違うほど重厚に輝き、反射によってはうっすらと紫がかる妖艶さを併せ持つ。名の由来となった赤い目は、やはり一番印象的で、生で見ると赤と言うよりは、朝焼けのような、強さと優しさを併せたようなオレンジ色をしていた。真っ赤に輝く目は、夜間、ライトに照らされた時に見ることが出来るとのこと。

これが「アカメ」か。
発見や感動のたび、何度も息を呑んだ。

残念なことに、アカメの体を労わりながら撮影できるスペースが無い場所で掛けてしまったため、その神々しくも武骨な姿を十分観察しきる前に、ひと暴れして僕の手から憧れは去っていった。正確な計測も出来なかったが、アカメ師の方にざっくり測ってもらい余裕のメーターオーバーと言うお墨付きを貰っただけで十分過ぎるほどの成果である。

両手の指先はボロボロ。指関節の流血も何ヶ所かあった。釣り上げてから数時間後、全身は謎の悲鳴をあげ翌日をまるまる回復に費やすほど、これまでの苦労が疲れに変換された。疲れが吹っ飛ぶという不思議な現象は、どうやら消えるのではなく、先送りになるだけらしい。だがそんなことはどうでも良いのだ。
憧れに出会えたのだから。
嬉しすぎて「自分は天才」と数日間思い込むほどの浮かれっぷりだったのはここだけの内緒にしておこう。

かくして初のアカメに無事出会えることができ、かつ目標に挙げていた、デイゲーム、サイト、ビッグベイト、メーターオーバーをこの1尾でクリアすることができた。ルアーもダウズワンと映えにも程がある。出来過ぎ。もう1チャンスを与えて神様にもお礼が言いたいものだ。何の神様だったのだろう。

最後に、お手伝い頂いたアカメ師の方。
沢山の情報をくださった現地釣り師の皆様、並びに
釣り具屋の定員の方々、渡船でお世話になった船長に
感謝申し上げます。

まだまだ謎の残るアカメと言う憧れを
ずっと憧れたまま、また挑みたいと思う。
闇夜に灯る紅い目を求めて。

・タックルについて

今回使用したタックルデータと、実際に釣り上げてから感じた修正点を併せて記す。ぜひ参考にして頂き、ご自身のベストセッティングを見つけてください。

ロッド:WORLD MONSTER 762H (Abu Garcia)  
リール:REVO BEAST (Abu Garcia)  
ライン:PE5号  
ルアー:DOWZONE (JACKALL)  
リーダー:Ocean Record 100lb (VARIVAS)  
スナップ:OVO No.2 (BOMBA  DA  AGUA)

このタックルは、河川での中距離〜近距離戦のビックベイトゲームを想定したものです。アカメの狙い方は実に様々で、ベストセッティングはその人次第と感じました。ご自身の得意な釣りをベースに構築してください。

釣り上げた後、同様の釣りをするとしての修正点は、

  • スナップよりスプリットリング、もしくは直結び
  • PE4号
  • リーダー100lb → 80lb

ここら辺だろうか。
先ずスナップ。ルアーのローテを格段に時短してくれるのだが注意しても開く不安がつきまとうスナップは、この釣りに関しては必要なかった。決めたルアーでハメにいくのか。決めたポイントにハメていくのか。より強い釣りをすればするほど、スナップが伸びる危険度が増すので自身の釣りと相談して決めてほしい。

メインラインに関しては、橋脚や杭など障害物の多い場所など、ポイントによって大きく変化する。オープンエリアならそれほど気を使う必要は無く思え、強い釣りになればなるほど、ルアーの針やスプリットリングの強度と相談すると良い。今回使用したルアーの針は、2ヶ所、ほんのりと伸びていた。(純正をそのまま使用)ドラグが少し強すぎたのだろう。その他破損等は特になかった。

リーダーは100lbを切られてしまった人も少なくないようだがこれはルアーを呑まれたり、障害物に巻かれた事が原因らしい。ビッグベイトにおいてはルアーを呑まれる確率も中型のものと比べれば低いだろう。少し下げても良いように感じる。80lbだって引っ張って切れる代物じゃぁないしね。逆にもっと強いパワーゲームも存在するみたいだし。
「釣りよかでしょう。」さんでアカメを狙ったタックルがそれに該当するのだろう。釣った後だからハッキリ分かるが、あの装備で挑んだら、僕は海に落ちる自信がある。もちろんルアーのアクションに大きく関係してくるから線引きはご自身の釣り方と相談してくださいね。

ちなみに「釣りよかでしょう。」さんのアカメ動画では、フッキングからキャッチまで約1分で決着しているが、今回僕は8分かかった。タックルもそんなに弱い訳ではない。ある程度のパワーファイトを選択しタックルバランスとしても、若干針が伸びたのみのセッティング。それでも8分だ。
サイズは正確に計測できていないが、それほど引けを取ってはいない。

凄い魚だよ本当。

・おわりに

アングラー憧れの魚「アカメ」
実際に高知を訪れると、たくさんの発見や驚きに溢れ、また四万十川をはじめとした豊かな自然が迎えてくれます。しかし、ここ数年で釣りが禁止になってしまったエリアもありゴミや騒音問題などが浮き彫りになったことも事実です。この素晴らしい体験に1人でも多くの方が挑戦できるよう、挨拶一つ、小さなことから心掛けて、素敵な環境を守りたいものですね。この素人の駄文が誰かの役に立つことを祈り、締めの句とさせていただきます。

長々とお付き合い、ありがとうございました。
安全第一で素敵なフィッシングライフを。
夢のアカメへ挑む方を応援します。

 

k.kiyonii

 

 

 

4 COMMENTS

あんにゃん

動画見てから来ました。凄い!ただ凄い!他に感想が出ないくらい、凄い!

返信する
kiyonii

ありがとうございます!!
最高の魚に出会えました。
こんな体験をさせて頂き、感謝しかありません。あと素人の長い駄文ですいません。
また返信が遅れてしまいすいません。
また機会があればチャレンジしてきます。

返信する
やん

いつか自分も。
ビッグベイトゲームやアカメ釣りにより魅力を感じられる、素敵な動画と記事でした。
おめでとうございました。

返信する
kiyonii

動画も駄文もご覧いただき、
大変嬉しいです。ありがとうございます!!
最高の体験です、ぜひチャレンジしてください。応援しております!!
高知市のオオツ釣具さんがおすすめです。

返信する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です